まいにちくらくら

アニメの考察感想とか

【映画】手紙が織り成す姉妹の美しい物語【ヴァイオレット・エヴァーガーデン外伝感想】

こんにちは、くらくです。

 

今回は先週、京都アニメーション製作の「ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝-永遠と自動手記人形-」を見納めしてきましたので、その感想記事を書いていこうと思います。ネタバレを含みますので苦手な方は注意!

 

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まだまだ絶賛上映中です。ぜひ劇場で

(C)暁佳奈・京都アニメーションヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会

 

 

 

 誓いのフィナーレの記事も書いてます↓

eveydayanime-9rakura.hatenablog.com

 

あらすじ 

……大切なものを守るのと引き換えに僕は、僕の未来を売り払ったんだ。

良家の子女のみが通うことを許される女学校。
父親と「契約」を交わしたイザベラ・ヨークにとって、
白椿が咲き誇る美しいこの場所は牢獄そのもので……。

未来への希望や期待を失っていたイザベラの前に現れたのは、
教育係として雇われたヴァイオレット・エヴァーガーデンだった。

 

公式サイト[http://www.violet-evergarden.jp/sidestory/]より

www.violet-evergarden.jp

 

予告映像はこちら


『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 - 永遠と自動手記人形 -』予告

 

ヴァイオレット・エヴァーガーデンってどんなお話?

武器として育てられた主人公「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」が、手紙を代筆する仕事である、自動手記人形として様々な出会いを通じて、「愛してる」を知る物語です。

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(C)暁佳奈・京都アニメーションヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会

 

美麗な世界を彩る背景美術や人物作画、感動的な演出やそれを彩る劇伴。

京都アニメーションの本気が感じられる大変素晴らしい作品です。


5分で分かるアニメ『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』第1回

 

 

 映画公開前にTVシリーズを見直したのですが、やはり10話は何度みても涙腺が崩壊します……。本筋の話も感動的なのですが、1話完結のお話はどれも完成度が高く、個人的にはそちらの方が好きでした。

今回の外伝も、どちらかといえば本筋とは離れた、独立したお話になります。

 

物語の主軸となる姉妹

ヴァイオレット・エヴァーガーデン外伝はある姉妹の物語です。

自らの「大切なもの」と引き換えに、自身の未来を売り払う「契約」父と交わしたイザベラ・ヨーク。

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(C)暁佳奈・京都アニメーションヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会

 

生き別れた姉から受け取った手紙を頼りに、ヴァイオレットもとへと訪れたテイラー・バートレット。

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(C)暁佳奈・京都アニメーションヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会

 

「手紙」を通して紡がれる、彼女らの繋がりが本作の描くものとなります。

 

 

ヴァイオレット・エヴァーガーデン外伝の良いところ

シリーズ初見でも楽しめる!

本編とは独立したお話となるため、TVシリーズを見たことがない人でも楽しめるお話となっていました。物語も複雑怪奇な展開をするわけでもなく、とてもわかりやすい内容でして、それを京都アニメーションの技術の粋を集めた美しい演出で彩った作品となるため、初見の方でも楽しめると思います。

ただ、TVシリーズを通して成長したヴァイオレットが、逆に他人の成長を促す存在となるという点も本作の重要なファクターですので、できればTVシリーズを見てから見ることをお勧めします。

 

ヴァイオレットの成長を感じられる

TVシリーズはヴァイオレットの精神的な成長を描く物語でした。初見では最終回と見間違えてしまうような第9話では、自身の過去を悔いながらも、自動手記人形として自らが行ってきたことを糧に、ヴァイオレットが成長をし、前に進むことになった過程が描かれています。

今回のお話は成長した彼女が、イザベラ、テイラーと触れ合う過程で、彼女らの成長を促す存在となります。一人前の自動手記人形として、また1人の人間として、大きく成長したヴァイオレットを見ることができるのは、TVシリーズからのファンとしては感涙ものです。

 

ゲスト声優さんの演技

声優さんの演技はどれも素晴らしかったですが、特にゲストキャラを演じる声優であるイザベラ役の寿美菜子さんとテイラー役の悠木碧さんの演技は本当に素晴らしかったです。

寿さんはけいおんのむぎからはじまり、ユーフォではあすか先輩を演じていたりと京アニ作品常連声優となりつつありますが、本当に彼女は演技はうまいですね。大変失礼な言い方ではありますが、むぎの時にはここまで芸達者な声優さんであるとは思ってもいませんでした。

イザベラは僕っ子で、性格も男勝りなところはありますが、それでも女性っぽさを感じる点はとても多く、それを担っているのが寿さんの声であると思います。

あすか先輩を演じていた時は、その底知れなさを感じる演技がとてもうまく、あすかというキャラクターの人間味を引き出していましたが、イザベラの場合は、強気な表面を打ち出しつつも内側に秘めている脆さのようなものを感じさせる演技は本当にすごいと思いました。内に秘めた感情を声に乗せるのがとてもうまいです。

 

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(C)暁佳奈・京都アニメーションヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会

 

テイラー役の悠木さんの子供っぽい演技は本当に上手で、テイラーの無邪気さ、可愛さをさらに引き出していたように思えます。

テイラーは若干男の子っぽさのあるキャラクターですが、それを声色でも表現できる悠木さんは本当にすごい声優さんであると思います。

痛烈に記憶に残っているのは、テイラーとエイミーが別れるシーン。泣き叫ぶテイラーの演技がとても鬼気迫るものであり、うまいと表現するのもおこがましいほど凄まじい演技でした。

 

藤田春香が描く心に響く演出

本作の監督を務めた藤田春香さんといえば、同じく京都アニメーション制作の「響け!ユーフォニアム」シリーズで、大きく注目を集めた方だと思います。

 

代表的なのは、その作品の核や方向性を大きく示したTVシリーズ一期の第8話「おまつりトライアングル」絵コンテ・演出を務められたことでしょうか。

ユーフォ一期第8話といえば、ファンが口を揃えて「神回」と言うほど、素晴らしい出来の回です。物語的に大きく動く回であるという点もありますが、特筆すべきはその絵コンテでしょう。短いカットを多用したテンポのよさ、背景とその効果を加えた演出は素晴らしく、キャラクターへの焦点の当て方が非常に巧妙で、見るものを魅了します。

私もこの回を初めて見た時は本当に衝撃を受けて、この回を経て「響け!ユーフォニアム」という作品を心から好きになったと記憶しています。

考えてもみてください。ユーフォ一期第8話のBパートはお祭りの描写から葉月の失恋までの流れと、麗奈と久美子の大吉山登山から麗奈の独白、そしてEDまで、これだけ濃密な内容を、短いカットを多用しテンポよく、かつ背景を最大限に利用し印象的に描写しているのです。

 

特に大吉山のシーンは、ユーフォファンなら何度も見返したのではないでしょうか?

高校生の女の子2人の関係性が、徐々にかつ明確に変わっていき、あのEDに繋がるのです。細かい仕草、会話のテンポ、印象的な美しいワンカット、どれをとっても言葉が出ないほど素晴らしいです。

演出・絵コンテはその回の設計図と言い換えることもできます。絵コンテの出来がその回の出来を決めると言っても過言ではありません。この第8話「おまつりトライアングル」を作り上げたのは他でもない、藤田春香さんなのです。

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第八回 おまつりトライアングル:STORY | TVアニメ『響け!ユーフォニアム』公式サイトより

 

 

本作はそんな藤田春香さんが初めて、監督を務められた作品です。

 

前置きが長くなりましたが、まあ端的にすると、女の子同士の絡みを描かせたらすごい人だっていうのが言いたかったことです。

 

本作でも前編にあたる、イザベラのお話においては、この手腕が遺憾無く発揮されています。

最初はヴァイオレットのことをよく思っていなかったイザベラですが、徐々に心を開いていき、友人となっていく過程を見事に描いています。

一番印象的なのが、ヴァイオレットが仕事を終える最後の日、ドレスに着替える前のイザベラの部屋のシーン。2人の関係性が深い友情(特典小説を読むと印象が変わりますが……)によって結ばれていることを示す描写がなされます。イザベラが、ヴァイオレットに抱きつくシーンはスカートのなびき方なども印象的でとても美しいです。

(余談ですが、おまつりトライアングルで麗奈がベンチに座るシーンもスカートのなびき方が印象的でしたね。藤田さん的にこだわりがあるのでしょうか…。私、気になります!)

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(C)暁佳奈・京都アニメーションヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会

 

また、その後のダンスシーンもとても素晴らしくて、特に目を引いたのがイザベラの視線。踊っている最中は基本的にヴァイオレットを見つめているのですが、最後のシーンで視線を外し悲しげな表情を浮かべます。この時のイザベラの心境は語るまでもないでしょう。ダンスシーンという比較的身体の動きで見せるシーンでありながら、キャラクターの心境を視線と表情で巧みに描写する演出は見事です。

(パンフレット持っている方は確認が出来ますので、ぜひ)

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(C)暁佳奈・京都アニメーションヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会

 

うって変わって、後編にあたるテイラーの話では、テイラーの何気ない仕草に一つ一つこだわりを感じました。例えば、ヴァイオレットが髪を結っている際に、それをテイラーが真似しようとするシーン。テイラーは自分ではうまく髪を結うことは出来ないので、ヴァイオレットに結ってもらうことになります。テイラーがうまく髪を結べないところもかわいく描写されているのですが、特筆すべきはヴァイオレットが他人の髪を解かし結うというシーンであること。

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(C)暁佳奈・京都アニメーションヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会

 

ヴァイオレットは数年前、イザベラに髪を解かしてもらい髪型を色々と変えられるという描写がされています。それと対比させ、ヴァイオレットの成長も描きつつ、テイラーも忘れてしまったであろう過去を想起させるような描写を入れています。単純にシーンとしてのかわいさ、美しさもあり、色々な意味を孕んだ演出であるといえます。

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(C)暁佳奈・京都アニメーションヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会 

 

また、誰もが感動したであろうクライマックスシーン。私が衝撃を受けたのは、草むらに隠れるテイラーをカメラを引くことによって、画面にフェードインする草木をまるで装飾のように描写し、そのワンカットをまるで絵画のように見せる演出です。

ただただ、美しいと言わざるを得ません。背景を巧みに利用し、美しいワンカットを生まれさせる手腕には本当に感服します。

その後、ED前の俯瞰視点から始まる、イザベラがテイラーの名前を叫ぶシーン。ここのイザベラの表情と言ったら……。言葉が出ません。

 

影の主役?ベネディクト

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(C)暁佳奈・京都アニメーションヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会

 

本作の涙腺ブレイカーと言ったら、実はベネディクトではないでしょうか?

TVシリーズではあまり焦点のあたらなかった彼ですが、本作の後編にあたるテイラーのお話は、ベネディクトのカットから始まります。

手紙を届けるという仕事に対して、つまらないという感情を抱いていた彼が、テイラーとの関わりを経て、「手紙を届けるということは、幸せを届けるということ」という考えを持つまでに至る成長が描かれます。

テイラーと共にイザベラに手紙を届けに言った際、彼がこのような発言をした時、私の涙腺は崩壊しました。

テイラーが郵便配達人になりたいと思うところに至る理由を作ったのは、イザベラとヴァイオレットの手紙をテイラーに届けたベネディクトなのです。

 

作品と完全にマッチしたエンディングソング

心地良い余韻を残しながら、本作はエンディングへと向かっていくのですが、そのエンディングがまた素晴らしい!

茅原実里さんが作詞を担当され、また自身が歌い上げるエンディング曲「エイミー」。

歌詞が本編とマッチしすぎていて、その曲調も合間って涙を誘います。もう私はわんわん泣いてました。

 

 

「エイミー」と「永遠」

この作品は「永遠」というものを描いています。パンフレットでの原作者である暁佳奈さんのコメントがとても印象的でした。

失われてしまった「エイミー」という名前は、イザベラがテイラーの未来を願い、テイラーがイザベラを思い続ける限り、それは「永遠」となるのです。

何かを思い続ける限り、願い続ける限り、たとえその対象が失われてしまったとしても、その思いや願いは「永遠」となるのです。

私たちが、ある作品を思い、願い、好きであり続けることで、たとえ失われてしまったものがあったとしても、それは「永遠」となるでしょう。

 

さいごに

京都アニメーション製作の「ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝-永遠と自動手記人形-」。私は合計三回鑑賞しましたが、見るたびに得られる新たな発見もあり、とても楽しめる作品でした。

京アニらしさを感じられる、とても素晴らしい作品でした。

感動的な物語でしたし、本当に「美しい」と称するのにふさわしい作品でした。

公開3週目に劇場でもらえた特典小説を読んでから本作を見ると、また違った視点で楽しむことができますよ! 読んでない方はぜひ、読んでからまた映画を鑑賞してみてください!

この作品はもともとOVA作品として制作されていましたが、画面サイズはシネスコサイズ(画面縦横比1対2.35、端的に言えば横に長い)で、劇場で見ることで映える作品です。音響も素晴らしいですし、まだ見られる劇場もあると思うので、まだみられてない方はぜひ見てみてください。

新作鋭意制作中のお知らせもありました。これからもずっと応援していきます。

 

 

yamachi-9rakura.hatenablog.com

 

***以下は、ただ私の思いを綴っただけです。読まれることで気分を害される方もいらっしゃると思うので、ご注意ください***

 

私が一番涙してしまったところは、やはりもうそのお仕事を見ることができない方々のお名前を見てしまった時でした。エンドクレジットで、サポーティングスタッフとして、何人かまとめてそういった方々のお名前を同時に見てしまった時、とてもこらえきれませんでした。

木上さんの演出がもっと見たかった。武本さんが手がける作品をもっと見たかった。西屋さんの、池田さんの素敵な絵を、キャラクターをもっと見たかった。石田さんの天才的な色指定をもっと見たかった。高橋さんの丁寧な細かいお仕事をもっと見たかった。

そのほかにもたくさんの方が、被害に遭われました。彼らの無念を思うと、今でも胸が痛みます。被害に遭われた、自分とほとんど年代の変わらない方の無念を思うとどうにもこらえきれないものがあります。

そういった様々な思いが、エンディングをみてぶりかえってきて、涙が止まりませんでした。

この作品は彼らが残してくれたとても素晴らしい、美しい作品です。

私はずっと、この作品を好きでい続けます。思い続けます。

そして、もっともっと色んな人に知って欲しい。そう願います。

 

この作品通じて感じたことが多すぎて、まとめるのに時間がかかってしまいました。

 

この記事が少しでも、京都アニメーションの復興に力添えできたのであれば幸いです。

 

本記事は別ブログで投稿したものの再投稿となります。